アカシア食堂レモンの記2

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空の中にいる嬉しさが体の中に躍る 脱いでいく旅リベンジ【06】 日本一の清流・仁淀川カヌーキャンプ

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空が好きだ。

空を見たい、というのは人の持つ根源的な欲求だと思っている。
空には形がない。行き止まりがない。果てがない。
目に見えるもので果てがないものは、空しかない。
果てがないから、焦点を合わせる場所がない。
どこを見てもいい。何も見えていない。
ない、という無限の中にあってはじめて、体は安心する、のではないか。

空をぼんやり見ていると、気が付くと思考が止まっている。
深い瞑想や、睡眠と同じ状態になる。

自分の小さな頭の中で回り続ける思考から逃げ出すことができたときにのみ、私は深い静寂と安堵に包まれる。この時、空と一体化している。

 

幸福とは何か、と考えると、「満足感」と「一体感」のことだ、という説が私は非常に好きだ。幸福という言葉は嫌いなのだが、満足感と一体感を体が求めている事には大いに納得できる。

この説でいうと、私は空を見ている時、空と一体になる感覚があるので、幸せだ、ということになる。

だから自分の小さな幸福のために、私は毎朝写真を撮る。空の定点観測が趣味なのもそのせいだ。

 

 

 

私が勝手に師のように想っている人たちが、空について語った言葉は体の中にいつも覚えている。

私の思考の1/4を作ったアーノルド・ミンデルが来日したワークショップの中で、アーミー(アーノルドミンデルの愛称)はこう言っていた。

 

「ある意味、私たちは全員が孤児のようなものです。

 私たちの両親は宇宙なんです」

 

実にしっくりと来る表現だと思った。

私たちは多かれ少なかれ理想の親というものを自分の中に持っている。
だが、その理想が、目の前にいる現実の親に十全に叶えられることはない。彼らは、親である前に、何かを背負って生きている一人の人間である。

私たちを生み出し、興味深くひたすら見守り、常に一緒にいるのは宇宙であるし、私たちを叶えるのも宇宙である。

だから物を言わない宇宙を見て、その中に還るように溶け込んでいる時、私は深い一体感と満足感を得ているのかもしれない。

 

また、「空を見ない日常は異常」と、あるタオイストは言っていた。

空に向かってぼんやりする時間が持てたなら、たいてい明日も生きながらえることができるような気がする。

 

人は、薬を飲まなくても、日常の中に居てハイ状態になることがある。(これについては何度も取り上げているが)「ナチュラルハイ」著:上野圭一 の中で特に覚えているのは、速度と高度の変化におけるハイだ。

 

ナチュラルハイ―わたしを超えるわたし (ちくま文庫)

ナチュラルハイ―わたしを超えるわたし (ちくま文庫)

 

 

新幹線や飛行機は早い。そして飛行機は高い。圧力や速度が圧倒的であることで、人はハイ状態になる。テンションが上がったり眠くなったり、仕事がサクサクすすんだり、いいアイディアが浮かんだり。そういうことが起こる。

これは本当にそうだな、と思う。高度と速度でハイが起こる。

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ようやく乗り込めた飛行機への安堵。
もう時計を見て焦らなくてもいい安堵に、体が安心してゆるみ始める。
土砂降りから抜けた雲の上に広がる日の光の神々しさは、精神を一気に高みへと引き上げる。

久しぶりに乗った飛行機から見た雲、青空、光、それらの神々しさ。
毎日、地上から写真を撮って見上げている空。
今その中にいる。
見渡す限り空。

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数十分、飛行機の小窓から、じーっと空を見つめていた、ように思う。
じわじわと涙腺がゆるみ、涙が出る。
体が開いたから涙が出たのだが、涙が出ると後追いで感情が動く。ムクムクと感極まるように、空の中にいる嬉しさが、体の中に躍る。

 

と、ここまでは記憶があるのだが、眠ってしまったらしかった。
つまり感極まって昇天してしまったのだ。でもまさに天上の気持ちよい眠りだった。
ただ、おかげで楽しみにしていたコンソメスープを飲み損ねた。残念。

目が覚めた時、着陸15分前ぐらいだった。
雲の切れ間から、高知の土地が見え始めた。

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空から見る海の青さが、本当に青い。黒潮だ。綺麗。もうここから少し、南国を思わせる。
私は日本海で育ったのだが、海の色と雰囲気が違うものだなあと思う。

さて、と私は自分の手描きのメモを見る。
降り立ったら、(自分で立てた)分刻みのスケジュールだ。
こなせるかな?本当にこのルートは合っているのかな?迷わないかな?考え始めれば、旅なのに気が重い。
でも、まあなれるしかない、やるしかない。

飛行機はスムーズに、高知へ着陸した。

 

【4/28 東京→高知 桂浜 1日でまわる(その分刻みの)スケジュール】

07:40 家出る
08:00 二子玉川駅着 
08:15 羽田(第二ターミナル経由)行 リムジンバス発 →(実際には時間違った)
09:20 羽田(第二ターミナル着
09:40 空港でチェックインと荷物預け完了
10:40 手荷物検査のところを通る
11:05 ANA563便乗り込み ←今回はここのお話でした
12:30 高知龍馬空港
      とさでん交通 高知駅前観光バス 乗車(発車時刻は飛行機到着と連結している)
      はりまや橋バス停まで、約30分
      高知市内、ガイドブックに載っていた一人で食べられる60年の老舗カフェ「ふぁうすと」でパンケーキ食べる
      高知駅前の高知ホテルにチェックインして荷物預かってもらう
14:48 (高知駅発最終)1日周遊のバスで桂浜へ
17:00 桂浜発
18:00頃 高知駅到着

つづく