生まれた物語が導かれる
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1、色に救われる
2、色に救われて物語が生まれる
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新宿伊勢丹で色を堪能した藤田二郎展。
足取りも軽くなったおかげで、せっかくだからと、伊勢丹3Fをぐるりと一周してから帰ろうと歩く。
すると、同じフロアに、壁一面に白い瓶が並んでいるショーケースがあって、横目で見ると
サンタ・マリア・ノヴェッラ、という一文字が目に入って立ち止まる。
なんとも美しい音の響きゆえに、覚えていたその名前。
「これって、あの女性作家たちが好きって言ってた香水では・・・?」
20年以上前見かけた雑誌か何かの記事で、女性作家が、一番好きな香水、としてあげていた記憶。
その時、天然の透明感のある匂いが漂ってきそうな紹介に、一度だけでも嗅いでみたい、と思った。
私の人生の9割は本でできている。
NO BOOK NO LIFE.
だから、作家というものを偏愛している。
数年に1度ぐらいの割合で、女性作家がサンタ・マリア・ノヴェッラの香水を紹介する記事を見かけていた。
しかも、ひとりじゃない。いろんな作家が、だ。
それも忘れた頃に、ぽそっと、くる。
サンタ・マリア・ノヴェッラは、イタリアにある世界最古の薬局。作り方に独特のこだわりがあって丁寧に作られている、昔から一切変えていない。
なんか、すごそう。すごそう、すごそう。リフレイン。
それがいま、目の前に?
女性作家たちを偏愛するあまり妄想が入り込み、すっかり、サンタマリアノヴェッラは、イタリアにしか店舗がないものだと思い込んでいた。
だから私は混乱していた。
イタリアに行かないと買えないものに今出会った・・・?
混乱しながらも食い入るように、ショーケースの中の説明文を見入っていたら店員さんがやってきた。
「よかったらお試しいただけますよ」
「えっ、いいんですか」
それ以上、ドキドキして言葉も続かずに、
たくさん並ぶ香水の中からもちろん、店名と同じ名の香水、「サンタ・マリア・ノヴェッラ」を指さした。
「はい、もちろんです」
とまだ上げ初めし前髪のようなあどけない店員さんは親切に言い、
香りのついたしおり紙を渡してくれた。
そして私はそっと、20年分の思いを込めて息を吸い込んだ。(おおげさ)
・・・その瞬間なんて、来てみればいつだってあっという間だ。
それは、青く、透明感のある爽やかなトップノートだった。
なにせ、バラの匂いかとずっと思っていた。(ノヴェッラが野バラみたいだったんだ)
違った。すーっとする、緑の初夏の草原みたいな匂いだ。
―ほぉぉ。
私はおもむろに口を開いた。
・・・続きはこちら。話しは紡がれて、なぜかユングの話に続きます。
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